抱き返り渓谷と合わせて楽しみたいのが、秋田県仙北市にある「田沢湖」です。
ここは、深さ423.4メートルと日本一を誇る湖で、「田沢湖抱返り県立自然公園」に指定されています。
なんと、日本百景のひとつでもあるというから、一度はお目にかかりたい風景ですよね。
一部が湖水浴場となっているほか、サイクリングや遊覧船など楽しみ方はさまざまです。
湖畔の辰子姫像を見つけたり、入園無料のハーブ園でゆっくりすることもできそうです。
そんな田沢湖には、切ない伝説があるのだそうです。
昔、田沢湖のそばで暮していた辰子という娘は、みずからの美しさが衰えることを恐れていました。
そのため、大蔵観音に願掛けをしたところ、とある泉の水を飲めと言われました。
しかし、水を飲んだ辰子は、老いることのない龍の姿へと変貌を遂げてしまったのです。
自分に起こった悲劇を知った辰子は、田沢湖に身を沈め、その主となったそうです。
現在でも、湖の北側にある御座石神社には、辰子がその水を飲んだという泉が存在しています。
湯治に訪れた私たちだからこそ、不老不死を願った辰子の思いには感じるものがありそうですよね。
そんな歴史のある田沢湖ですが、一時は危機にさらされたこともあるそうです。
昔は日本第二位と言われた透明度を誇る田沢湖が、昭和初期には玉川温泉が流れ込んだことにより水質を悪化させてしまったのです。
玉川温泉は、強酸性の泉質です。効果的な温泉であることは間違いありませんが、環境が破壊されるほど強いものでもあるようなのです。
そのため、多くの対策が講じられ、現在ではウグイが生息するほどにまで回復を見せています。
よみがえった湖、「田沢湖」の吸い込まれそうな美しさは、秘められた伝説と危機が作り上げたものなのかもしれませんね。